聖書に記されたエジプトを出たあとの旅路については、さまざまに議論されています。エジプト軍が迫ってくる中で、目の前の「葦の海」の水が左右に分かれて通路ができたという奇跡は、どの地点であったのか。聖書にはイスラエルの人々が辿った地名が記されていますが、それがどの地点なのか、考古学者の調査にも拘わらず、確定的なことは不明とされています。
とくに重要なのは、シナイ山、モーセが神に十戒を授けられたところです。普通理解されているシナイ山は、シナイ半島の南部にあるジェベル・ムーサ（モーセの山）と名付けられた山で、その麓には聖カタリーナ修道院が建てられています。（下の写真）しかし、そこが聖書のシナイ山との伝承は、紀元後四世紀からです。聖書の記述を手掛かりとした、荒れ野の旅のルートの探求はこれからも続けられることでしょう。
シナイ山で神はモーセを通して、神の御心を示されました。イスラエルの人々の父祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神は、イスラエルの人々に、「もしわたしの声に聞き従い、わたしの契約を守るならば あなたたちはすべての民の間にあって わたしの宝となる」。すなわち、イスラエルの民が、神のさだめた十戒を守るならば、神は豊かに祝福すると約束されたのです。こうしてイスラエルの民は、モーセを通して、神の契約の民となりました。
担当：梅津順一
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- 世界史とキリスト教（2023年度）
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