創世記は天地創造の物語から始まりますがその部分はいわば創造神話で、12章のアブラハムの物語から歴史が始まると考えられています。アブラハムは父テラ、妻のサラと甥のロトとともに、カルデアのウルを出発しています。一行はユフラテス河を北上し、ハランという町に到着します。当地に滞在中に、父テラが亡くなります。アブラハムはそこで「私の示す地に行きなさい」との神の示しを受けて、南下しカナンの地を目指したのでした。
ウルは古代バビロニアに先立つシュメール文明の有力な都市で、その遺跡は長い間砂のなかに埋もれていましたが、考古学的調査によって現れました。ウルの中心部には、ジグラッドと呼ばれる神殿がありました。三層に作られた建物で、最上層に聖所があり、月神崇拝が行われていました。アブラハムは、当時の古代文明の中心地から出発したのでした。
担当：梅津順一
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- 世界史とキリスト教（2023年度）
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