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日本プロテスタント人物誌 No.23A.K.ライシャワー

2022年10月2日

【A. K. ライシャワー(1879-1971)】

 年配の人であれば、ケネディ大統領の時代、日本大使に任命されたエドウィン・ライシャワーの名前は記憶にあるかも知れません。当時、日本育ちの日本研究者で、ハーバード大学教授という経歴が注目されました。ここで取り上げるのは、その父A. K. ライシャワー博士です。父ライシャワーは、19世紀半ば、オーストリアから宗教的自由を求めてイリノイ州に移住してきた家庭に生まれました。当時、その地域は敬虔なルター派教徒が多く、教会でも学校でもドイツ語が用いられていました。

 彼は長老教会系の上級学校に進み、大学を卒業したのち、長老教会に転籍し、伝道者を志してマコーミック神学校に入学、YMCA世界大会への出席が刺激となって、外国伝道の宣教師への道を進むことになります。第一希望地はブラジルでしたが、第二希望の日本に赴任することになります。日本への船便には、日露戦後の講和会議から帰国するロシアの外交官も乗り合わせていたとか。日本では明治学院で教え、その学生の中には、次回とりあげる賀川豊彦もいました。

 ライシャワーは日本伝道に二つの課題があると考えました。一つは、伝道地日本の文化、精神的遺産をよく知らなければならないと考えました。そこで彼は、日本の仏教研究に着手します。とくに、浄土真宗に注目し、基本図書を翻訳することから始めて、本格的な仏教研究者になりました。もう一つの課題は、伝道地日本で、プロテスタント各派の協力が必要なことです。東京女子大学は、教派の協力で出来たのですが、ライシャワーはその設立の中心的存在でした。

 ライシャワーの家庭は順風満帆であったわけではありません。長男ロバートは、プリンストン大学で日本研究者として教えていた折、日中戦争下の上海で、日本軍の空爆の犠牲となっています。娘のフェリシアは、幼児の時高熱で聴覚を失いました。フェリシアはアメリカで手話を用いないで、残された聴覚を生かす口話法の教育を受けます。その聴覚障碍者への口話法教育を日本で普及させるために、妻のヘレンが校長になり、日本聾話学校が設立されました。

担当 梅津 順一

カテゴリー:
キリスト教入門
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