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日本プロテスタント人物誌 No.14新渡戸稲造

2022年7月3日

【新渡戸稲造(1862-1933)】 

 新渡戸稲造は盛岡藩士の子弟ですが、維新後上京し英語を学び、明治10年、二期生として札幌農学校に入学しました。同期の内村鑑三らとともに、クラーク先生の残した「イエスを信ずる者の誓約」に署名しています。内村によれば、新渡戸のクリスチャン・ネームは、パウロで思索的、学者的な性格を表していたようです。ちなみに、内村はダビデの親友であった勇士ヨナタンでした。

 新渡戸も内村も、北海道開拓使(今の北海道庁)勤務の後、アメリカに留学します。内村は専門の水産学ではなく、アマスト大学からアンドヴァー神学校に向かったのですが、新渡戸はアメリカの大学を経て、札幌農学校の助教に採用され、さらにドイツに留学し、農学を追求することになります。アメリカ滞在中、クエイカーの集会に出席し、クエイカーの信仰に惹かれ、そこで知り合った女性と結婚しました。

 ドイツから帰国した後、新渡戸は札幌農学校で教え、その後、台湾の民政長官であった後藤新平の依頼で、台湾総督府に勤務し、糖業育成のために尽力しています。新渡戸の糖業改良計画は短時間のうちに成果を上げています。その後、新渡戸は大学に戻り、帝国大学教授を兼務しながら、旧制第一高等学校校長に就任、後に、東京女子大学初代学長にもなりました。

 新渡戸は教育者であるとともに、農学者、さらには植民政策学者であり、専門的な著作を残しています。しかし、新渡戸のもっとも有名な著作は英文で記された『武士道』でした。新渡戸は、ヨーロッパの学者から、日本人の道徳的背骨は何かと問われて、この本を書きました。キリスト教が土台となっている欧米世界に対して、日本人の道徳的土台は何かを説明したものがこの本だったのです。

 新渡戸は、第一次世界大戦後に設立された国際連盟の事務次長に就任しています。事務総長はイギリスの外交官、日本は、事務次長の要職を得て、新渡戸に就任を要請したのでした。新渡戸は日本の優れた国際的視野を持つ人物であり、『武士道』の著者として、世界的に知られていたからです。

担当 梅津 順一

カテゴリー:
キリスト教入門
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